造形芸術学/教員紹介
多田羅 多起子 准教授 【Takiko Tatara】
2007年 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 博士後期課程修了
- 見る、記録する、考える、そして伝える。
- 広島大学で造形芸術学を学び、京都工芸繊維大学で日本美術史を学んだ後、文化財修理の現場で学芸業務に携わってきました。2020年秋に広島大学に着任し、造形芸術学を担当しています。
主な研究実績
- ◆画題と図様の継承と展開を追う
- 江戸時代に京都で活動した京狩野家の絵画を中心に、代々描かれる画題の図様がどのように継承されたか検証し、その時々の需要にどのように対応していたのかを研究しています。
- ・「狩野山雪の蘭亭曲水図―再発見された写真資料を手がかりに」『Museum』 650号、2014年6月 ほか
- ◆近世から近代へ 画家の価値観の変化を問う
- 近代京都画壇を牽引した幸野楳嶺の活動を中心に、伝統的な技術を新しい時代の価値観に適用していった画家たちの活動を研究しています。
- ・「近代京都画壇における世代交代について―土居次義氏旧蔵資料を手掛かりに―」『美術研究』428号、2019年9月 ほか
- ◆記録と評価の歴史を読み解く
- 日本美術史という学問が現在の形に至る過程で、作品がどのように調査、記録され、評価されてきたかを研究しています。あわせて、調査記録が今後も保存され活用されるよう整備を進めています。
- ・JSPS科研費JP19H1217「日本美術の記録と評価についての研究−美術作品調書の保存活用」に研究分担者として参加しています。
- ・「記録された日本美術史―相見香雨、田中一松、土居次義の調査ノート展―」(2018/5/12〜6/16(実践女子大学香雪記念資料館・東京)6/25〜8/11(京都工芸繊維大学美術工芸資料館・京都)開催)で土居次義調査研究資料を担当しました。
主な社会貢献活動
- 意匠学会編集委員(2020)、美術史学会西支部編集事務局幹事(2014)
主な教育内容
◆日本美術史および西洋美術史の授業では、時代や文化の違いから生まれる多様な造形表現の特質を自分の言葉で説明することができるようになることを目指します。また、制作当初の作品が置かれていた状況に立ち戻り、社会的背景や作品に求められた役割についても考えます。
◆造形芸術学基礎論では、私たちが芸術作品を前にいいなと思う感覚、あるいは、なぜこれが芸術作品なのか戸惑う感覚はどのように現れ、作用するのかを考えます。過去の人の考えを知ることで私たちの捉え方の源流を探り、現在の問題として考えていきましょう。
◆ゼミでは造形芸術に関わる論文作成を目標に、ある美意識、作家、作品、様式、表現などに関わるテーマや、美術館に関わるテーマなどを設定して研究を進めます。